経営者保証に関するガイドライン

経営者保証ガイドラインを利用した保証債務整理の要件

経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)を利用して保証債務を整理するためには、例えば以下のような要件が必要となります。

①主たる債務者が中小企業であること

②保証人が経営者個人であること

③主たる債務者・保証人が弁済について誠実であること

④主たる債務者・保証人が財産・負債状況等について適時適切に開示していること

⑤主たる債務者・保証人が反社会勢力でないこと

⑥主たる債務者が法的整理手続または準則型債務整理手続の申立てを行っていること

⑦対象債権者にとっても経済的合理性が見込まれること

⑧保証人に免責不許可事由およびそのおそれがないこと

経営者保証に関するガイドラインに基づき保証債務の整理を対象債権者に対して申し出るためには、以下の4つの要件を全て充足する必要があります(経営者保証に関するガイドライン7項(1))。

イ)対象債権者と保証人との間の保証契約が経営者保証に関するガイドライン3項の全ての要件(※)を充足すること

※3項の要件

保証契約の主たる債務者が中小企業であること(注1)

保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者であること(但書は略)。(注2)

主たる債務者及び保証人の双方が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること(注3)

主たる債務者及び保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと

ロ)主たる債務者が法的債務整理手続の開始申立て又は準則型私的整理手続の申立てを経営者保証に関するガイドラインの利用と同時に現に行い、又は、これらの手続が係属し、若しくは既に終結していること

ハ)対象債権者において、破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがある等、経済的な合理性が期待できること(注4)

ニ)保証人に破産法252条1項(10号を除く)に定める免責不許可事由が生じておらず、そのおそれもないこと(注3)

注1は主たる債務者の要件、注2は保証人の要件です。注3の要件を誠実要件とか適格要件と言うことがあります。注4を経済的合理性の要件と言います。いずれも重要なので項を改めて説明します。

今回は保証債務の整理をする場合に対象となる企業や得られる効果についてお伝えいたします。

まず対象となる条件ですが、以下の3つ全てを満たす必要があります。

1.法人が法的債務整理手続又は準則型私的整理手続の申立てを同時に行うか、係属中若しくは終結していること

2.金融機関において、法人の債務及び保証債務の破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、経済的な合理性が期待されること

3.保証人に破産法に定める免責不許可事由が生じていないこと

経営者保証ガイドラインを利用した保証債務整理の効果

経営者について、経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)による保証債務の整理が成功した場合、一定範囲の財産(残存財産)を残存したまま、保証債務の減額・免除や弁済期限の猶予を受けることが可能となることがあります。主債務者である法人・会社が再建型手続をとっている場合には、その経営に引き続き携わることが可能なこともあります。また、経営者保証ガイドラインによる保証債務整理が成功した場合でも、個人信用情報に事故情報(ブラックリスト)として登録されないこととされています。

ポイント

1 会社の事業譲渡との相性が非常によい

会社は事業譲渡により事業承継を図りつつ、経営者保証ガイドラインにより、経営者は保証債務の整理/免除が可能となります。

2 経営者が自己破産を避けられる。

上場会社でもなければ、金融機関からの借り入れの際には、連帯保証を求められます。

負債の清算フェーズでは、通常、代表者の債務の大半は、金融機関等からの借り入れの際の連帯保証が大部分を占めます。事業位規模によっては数億円以上の連帯保証債務を負っていることもあり、会社が破産となった場合、代表者も破産となるケースが多いのですが、経営者保証GLが活用できれば、代表者個人の自己破産を回避できます。

3 残存資産として、自由財産99万円に加えて一定期間の生計費を残すことができる。

個人が破産した場合は「自由財産」として99万円を上限に現預金等を残すことが認められますが、経営者保証ガイドラインを利用する場合、さえらに、自由財産99万円に加えて、一定期間の生計費に相当する現預金を残すことが可能となります。

なお、華美でない自宅等も残すことができるとされていますが、担保権が設定されている自宅をそのまま保持することは難しいのが実情です。詳細はご相談ください。

経営者保証ガイドラインを利用した保証債務整理の手続

経営者が、経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)による保証債務の整理を行うためには、「私的整理の中でも、いわゆる準則型私的整理手続」を利用する必要があります。経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を行うための準則型私的整理手続としては、以下のようなものがあります。

①裁判所における特定調停*

②中小企業再生支援協議会の再生支援手続*

③地域経済活性化支援機構による再生支援手続

④事業再生ADR

③や④は上場企業等の大規模な企業がフィットするとされていますので、中規模以下の中小企業や小規模企業の倒産の場合であれば以下の場合が多いでしょう。

①裁判所における特定調停

②中小企業再生支援協議会の再生支援手続

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