弁護士が教える宿泊業・ホテル・旅館の倒産について

1.戦後最大の危機の到来

宿泊業(ホテル業、旅館業)では、最近、カプセルホテルを全国展開していたファーストキャビンがあっという間に破産に追い込まれたという衝撃的なニュースがありました。

2.宿泊業(ホテル業、旅館業)における破産や民事再生の特殊性

宿泊業(ホテル業、旅館業)における破産や民事再生では、金融機関、物件所有者、お客様、従業員、取引先(工事業者、旅行会社、予約サイト、フードサービス等)といった多方面との利害調整が必要になります。

●お客様との関係では、
・宿泊費の前払いを受けている場合、返金するのか正解なのか、それとも返金しないのが正解なのか。
・当方からのキャンセルの連絡の際、どのような説明をするのか。
・会議等のビジネス利用の場合、当方からのキャンセルを連絡すると損害賠償を求められる可能性もあるが、事情を説明するわけにもいかない中でどのような説明をするのが良いのか。
●従業員との関係では、
・いつ解雇を伝えるのか。
・雇止めをどのようにするのか
・いつまでの給料を支払えば良いのか。
・解雇予告手当はどうするのか。
・立替制度の利用をどうするか
●取引先との契約では、
・いつ契約の終了を伝えるのか、それとも伝えないのか。
・閉業前に納期が来る場合に納品を受けて良いのか。
・引継ぎ先をどのように案内するか。

といった問題を次々と解決していかねばなりません。

これらについての基本的な考え方は、偏頗弁済のような債権者の平等を害するような行為を行うと、裁判所に選ばれた破産管財人にその行為を否認されてしまうため、債権者の平等を害するような行為は原則として行わない、というものです。

他方で、破産管財人も様々な利益衡量を行った上で否認に及びますので、破産管財人の判断に対する見通しに基づき、適時に的確な決断を行っていくこともあり得るのではないかと思われるところです。

また、破産や民事再生の場面では、同業者や隣接業者から事業譲渡、事業承継、M&Aが持ちかけられることもあります。

事業譲渡、事業承継その他M&Aにより、お客様、従業員、取引先への影響を低減することができることもありますし、破産や民事再生には一定の費用が必要となりますので、費用を捻出する方法として有効な選択肢となることもあります。

もっとも、その場合も、あまりに廉価な価格で譲渡した場合(特に身内等で)、破産管財人に否認されるリスクがありますので、弁護士とよく打ち合わせをしていただくことをお勧めします。

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