会社破産(法人破産)

破産という選択肢

 経営者としては、最後まで会社再建のために頑張りたいお気持ちは良く分かります。もちろん、私どもも、企業再生のご相談を頂いた場合、あらゆる選択肢・可能性を検証し、貴社の再建のために全力を尽くします。

しかしながら、状況によっては、どうしても再建が困難な場合はあり、そのような場合は、責任を持って会社を清算することも、経営者の大切な役割です。

 

会社を我が子のよう思っている熱心な経営者ほど、更に無茶な借金をし、さらには個人資産を投入し、さらには個人名義で借り入れをし、はては家族名義でも借り入れをしてでも返済を続ける、といったことを選択されてしましますが、それが後々逆効果になってしまうケースも多々ございますが、そもそも、経営も、究極的には経済的幸福あってのものであることに目を向けることも必要です。

*年度によってばらつきがございますが、年間で個人破産は約10万件、会社破産でも年間約1万件あまりの申立が日々行われており、決して特別な手続きではないと言えます。

 

そして、私たち弁護士は、会社を清算する場合も、経営者に寄り添って、経営者やご家族、従業員の方の権利を最大限保護し、ストレスを少なく、人生の再スタートが切れるようにお手伝いします。

 

一度、破産してしまうと全てがお終いという訳では全くありません。

破産しても従業員はもちろん、取締役にも就任可能ですし、再び起業することも、代表者に就任することも可能です。

 

そして、これまで経営をし、ご家族を支えてきたこと、従業員の雇用を支えてきたこと、顧客やユーザーに評価されてきたこと、取引先の業績に貢献してきたこと、金融機関に対しても元利払いを続けてきたこと、多額の納税をしてきたこと等も無価値になるわけでは決してございません。

 

 難しい経済環境の中、幾年に渡って経営をし、雇用を創出し、納税をしてきたこと自体、たいへんに素晴らしいことであると本当に思います。

破産手続き

 会社が破産手続きを選択すると、私どもにて申立書類一式を準備し、裁判所に提出致します。東京地裁の場合、多くの事案では、受理・面接(私どもで裁判官と面接します)した翌週に「破産開始決定」がされるとともに(これを持って正式に破産手続きが始まることとなります)、同時に、裁判所から選任された破産管財人が会社財産管理、負債の調査等を致します(当事務所も、裁判所からの選任を受け、破産管財人等の業務を取り扱っております。

 

破産手続きに先行していわゆる「受任通知」を私どもが送付した段階で、債権者は経営者やご家族に直接請求したりすることはできなくなりますし、裁判所の手続に則って進行することとなります。

 

 破産手続を選択する場合、それより以前又は同タイミングで従業員は全員失職することになりますが、法令の範囲内、順位づけを考慮の上で給料や退職金などの労働債権を先に確保するなどして、従業員等に最低限の配慮をすることができます。

 

条件を満たせば、政府(労働者健康福祉機構)による未払賃金立替払制度も用意されております。

 

 破産を決断することは経営者にとって、もちろん、苦渋の決断であるとは思いますが、そうした状況を放置しても、問題が解決されることはないどころか、更に無茶な借入をし、さらには個人資産を投入し、さらには個人名義で借り入れをし、はては家族名義でも借り入れをしてでも返済を続ける、といったことを選択され、それが後々逆効果になってしまうケースも多々ございます。

 

第三者に相談するだけでも精神的に相当楽になることもあります。弁護士は当然、守秘義務を負っていますので、相談していることを他の誰かに知られることはありません

 

あなたとあなたのご家族、従業員のためにも、一刻も早く、専門家である弁護士に相談し、客観的に状況を分析してもらった上で、然るべき措置を取ることをお奨めします。



この記事の執筆者

弁護士 小野直樹

一橋大学法学部在学中に旧司法試験合格。翌卒業

これまで数々の法人破産を円満に解決してきた実績を持つ。「スピーディな解決」をモットーに、破産が必要であっても依頼者に寄り添った対応を行っている。



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