会社解散について、必要な費用や手続き、解散・清算までの 流れとスケジュールを解説

会社解散 ・会社清算とは

株主総会の決議によって会社を解散、清算させていく手続きです。

債務超過でないこと、すなわち、負債を支払って、資産がマイナスにならないことが必要です。手続きは、会社法で定められており、いわゆる「破産」とは全く異なります。

例)上場会社がグループ会社を清算するケースや、社長個人の会社(オーナー会社)が廃業するケースが典型です。

会社解散をするべき時とできない場合

会社解散を選択する基準としては以下のものがあります。

廃業する時、「解散」の選択をする場合は、上記のとおり、債務超過していないことが必要です。*債務超過している場合は、「解散」の手続きではなく、「破産」という選択肢がございます。

会社解散に必要な費用

大きくは、裁判所に支払う実費関係と専門家(弁護士等)に支払うものに区分できます。

①実費関係:(例)解散・清算の登記費用(登録免許税)、官報公告費用、登記簿謄本取得費用など・・・概ね10万円弱程度です。

②専門家(弁護士等)に支払う費用:(例)弁護士報酬など

当事務所では30万円~50万円(税別)が目安です。

会社解散~清算の流れ

【スケジュール】官報公告に関する期間(2か月)が含まれるため、会社の解散決議(株主総会決議)から清算結了までは最低でも3か月程度必要です。

大まかな流れは以下の通りです。

①株主総会決議(解散、清算人の選任)

②法務局へ解散・清算人選任の登記申請(2週間以内)

③債権者に対する官報公告・知れたる債権者へ個別催告(2か月以上の届出期間)

④株主総会決議(解散日の財産目録、貸借対照表の承認)

⑤債務の弁済、残余財産の分配(③の官報公告から2か月後) 

⑥株主総会の開催(決算報告の承認)

⑦法務局へ清算結了の登記申請(2週間以内)

弁護士に依頼するメリット

廃業にあたって、清算が可能なのか破産しなければならないのか、というのは、破産を選択する場合、破産手続きによった場合どうなるかを熟知している弁護士に相談するのが適切であると考えられます。

場合によっては、資産を譲渡したり、負債を清算したりするのに、破産法上のルールを踏まえて行わなければならないため、各スキームのノウハウがあり、手続に対応できることが望ましいといえ、最終的には弁護士適任である場合が多いと考えられます。

あわせて、税務申告や登記等も関係して発生しますので、税理士の先生や司法書士の先生と連携したり、それらのネットワークを持った弁護士事務所に相談するのが重要であると言えます。

当事務所には、司法書士が所属し、また、税理士と連携して、スムーズ・スピーディな対応が可能です。

実際の解散事例

(1)廃業の方法

昨今、コロナ不況によって廃業を検討されている方からよくご相談を受けています。

その場合に、債務の種類としては以下のように区分されます。

①金融機関支払い

②税金

③賃金

④取引先

⑤社長や親族関係

特に、事業の廃業時に負債が残るケースで、会社をたたむ方法としては、大きくは、A解散・清算とB破産という方法があります。

※似たようなもので「休眠会社」というものもありますが、こちらはあくまで「休眠中」の会社ですので、どちらでもありません。あくまで休眠しているだけといえます。

例えば、借入が多いけれども、その内訳は社長や親族からの貸付であったり、借入金自体が時効にかかっている場合、B破産とはせず、A解散・清算という方法で対処できるケースもあります。

ただその場合、免除を受けたことになり、債権放棄をされると、「免除益」として税金が発生する場合があります。例として、1000万円の免除を受けると、約200万~300万円程度の免除益が発生するようなケースが典型です。それは納税義務が生じる可能性があるので注意が必要です。

ただし、繰越損失(一部期限切欠損も含めることができるケースもあります)があるようなケースでは、それと相殺することができることもあります。そのため、法律と税務の両方の観点での検討が必要となります。

(2)解散を弁護士に頼んだ方がいい理由

解散の場合、負債が0になるケースは、税理士の先生や司法書士の先生で手続きできる場合があるのですが、負債が残るケースでは、弁護士に相談いただくことが望ましいと言えます。

【事例紹介】廃業を決断し、金融機関の借り入れがあった状況で資金の段取りをつけたうえで、解散をし、事業を清算できたケース

■ご依頼の背景

介護関連事業を開始したところ、想定していたような認知が広がらず、売上げが伸び悩み、赤字が続いていたところ、ご相談いただいたケース。

■担当弁護士の所感

今回の会社様は、①株式会社、②代表者の個人保証あり、③公庫からの借り入れあり という状況で、ご相談いただきました。

負債額からは、個人の収入や資産で精算できる目途がたったことから、破産は選択せず、清算→解散という手段を選択することになりました。

事業の廃業にあたっては、①テナントの清算、②取引先の清算、③金融機関の連帯保証、④従業員様の清算、⑤税金面の対処等、いくつかポイントとなる事項がありますので、それについてもアドバイスさせていただき、滞りなく清算することができました。

■お客様の声

先生には、早い段階から相談に乗っていただき、手続き方法や方針について良く理解して安心して任せることができました。

また、登記や公告の手続きなどは、司法書士の先生にお世話になったのですが、こちらは共同事務所ということだったので、弁護士の先生と一緒に頼むことができ、大変よかったです。

また、スタッフの方からも進捗の報告などを都度していただけたので、安心できました

【事例紹介】特別清算を選択した事例

■ご依頼の背景

アミューズメント事業会社様からのご相談です。

関連会社の事業で数億円規模の負債が発生しており、各所への支払いが滞っていました。

こちらの関連会社は、親会社から運転資金や銀行への返済資金等の資金提供を受ける形で資金を確保していたところ、事業がストップしたタイミングで、数億円規模の貸付が残る形となりました。

■担当弁護士の所感

この場合、関連会社については、①破産、②解散という選択肢になるかと思いますが、債権者はほぼ親会社のみであったことから、債務免除をすれば破産を避けられるケースでした。

ただし、数億円規模の債務免除ですので、免除益、すなわち課税の観点が検討事項でした。

親会社としても貸倒損失を費用計上する必要がありました(詳細は譲りますが、貸倒損失を費用計上するには、一定の税務上の基準があり、通常の解散ではなく、特別清算の形をとるべきケースもございます)。

本件では、①破産は行わない、②清算会社の納税を発生させない(追加のキャッシュ負担を生じさせない)、③親会社の費用計上を適切に行えるようにするという3点を考慮し、特別清算の形を選択いたしました。

特別清算の場合、おおむね3~4か月程度要するのですが、無事、裁判所の許可を得て清算手続きを完了することができました。

特別清算という手段はあまり一般的ではないところがあり、支援している事務所もそう多くはありません。

当事務所ではこういったケースにも対応しておりますので、まずはご相談いただければと思います。

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