会社規模別の破産に関するポイント解説
ベンチャー企業の倒産(事業譲渡、M&Aで解決できるケースも)
【特徴】
ベンチャー企業の主な資金調達方法
・金融機関からの借り入れ
・ベンチャーキャピタルからの借り入れ(株式や社債が組み合わさっていることもあります)
【方針】
・資金繰りが息詰まった場合、ベンチャーキャピタルからの追加出資等の支援を受けるケースもありますが、限界に達すると追加支援がなくなり、金融機関からの借り入れも苦慮すること考えられます。
その場合は、債務整理が必要となってくる可能性もあります。また、さらに税金の滞納があると、余計にまとまりにくくなる可能性も大いにございます。
・事業の内容によっては、事業の売却によって解決するケースもあります。ただし、こちらも税金の滞納がある場合は、売却がまとまりにくくなることもありますので、注意が必要です。
開業3年以内の企業の倒産:個人資産を投入しすぎる前にご相談を
【特徴】
開業して間もない企業の資金繰りの課題といたしましては、以下のようなことが典型です。
①売上がそもそも不足している
②開業資金、開業融資の負担が大きい
③開業にあたってのリース負担や人件費が、売り上げを超過してしまっている
④取引先等とのトラブル
事業実績が必ずしも多くないため、トラブルに慣れておらず、大きな影響をうけるようなケースが多く見受けられます。
⑤社長個人としての借り入れ(ビジネスローン等)
法人の連帯保証以上に負債額が大きくなってしまうケースが非常に多く見受けられます。
【方針】
開業間もない企業の場合、社長個人の自己資金を投入し、半年~2、3年は様子を見るものの、社長の自己資金が限界に達するなどして、見極めをしなくてはならないケースがあります。
ご相談者様の中には、真面目な経営者様ほど、自宅を担保にしてしまったり、売却してしまったり等、個人財産を必要以上に痛めてしまっているような例もあり、より早い段階でご相談いただければ、さまざまな選択肢もあったと思われるケースも、非常に多くございます。 開業間もないこともあり、相談する相手がいなかったり、無理をしてしまうケースも多い傾向にありますので、まずは、冷静な判断をするために、早めにご相談いただきたいと思います
10名以下、小規模の企業の倒産(滞納が始まる前にご相談を)
【特徴】
・売り上げの減少が即資金繰りに影響することが多く見受けられます。
・金融機関、買掛金、給与、税金(社会保険料、消費税等、事業不振でも、まとまって納税期限が訪れるものもあります)等、どれかの未払いが発生すると即、信用不安や退職につながります。
・融資を受けるためには未納がないことが重要です。
└まれに融資を検討するような会社もございます。企業再建に熱心な会社もありますが、多くは自宅を担保にしたり、法外な高金利で貸付けを行い、公正証書を作成するなど、痛ましいケースも多数見受けられます。
ぜひ、お早めにご相談いただきたいと思います。
【ご相談いただくきっかけ】
金融機関(日本政策金融公庫、信用金庫等)から、追加借り入れを断られて相談いただくケースが多いです。
【方針】
リスケジュール等で再建を図れるケースもありますが、難しい場合は、どのような方針にすべきかを早期に決定する必要があります。費用(実費等)がかかることですので、早めにご相談いただきたく思います。費用が足りない場合、資金を貯めて手続きを行うことになりますが、他の支払いが遅れている状況で苦慮されることが多く見受けられます。そのため、お早めにご相談いただくことをおすすめいたします。
中規模の企業の倒産:再建の道も十分あり得ます
【特徴】
中規模の企業の場合は、金融機関の支払い負担もさることながら、取引債務や人件費の支払いも多額に及ぶこと等が特徴です。 •ある程度、金融機関から融資を受けてしのぐことも可能です。
ただし、与信枠を超えるような段階におよぶと、メインバンクからの資金提供がストップし、資金繰りに苦慮するケースがあります。 •社会保険料等の滞納にご注意ください。
中規模の企業の場合は、こちらもまとまった金額になるため、滞納が始まるとその回収に苦慮するケースもあります。
【方針】
・再建できる可能性も十分あり得ます。
もともと事業規模が小さくはありませんので、清算の決断をせず、再建を検討できるケースも少なくありません。
そのために事業・財務のデューデリジェンス、経営改善計画等を用意し、債権者の理解を得つつ、 BS(貸借対照表)、 PL(損益計算書)、CF(キャッシュフロー計算書)の改善をはかることがポイントとなります。これらが実現できれば、清算に至らずに再建できる可能性はあります。
中規模の企業は、窮境原因を客観的に特定し、早期に対処すること(例えて言うなら、病気を早期に特定し、治療に至るようなイメージ)が必要で、これらに長けた専門のチームで取り組みことが成功のポイントです。
当事務所では、これらのネットワークも駆使して、再生を支援しております。 •バンクミーティングや債権者対応、年金事務所や税務署対応といったところも支援いたします。
資料作成や、代理人として同席する等の各種方法で支援いたします。
大企業の倒産:影響が多く、スキームも多いことから適切なスキーム選択がポイント
【特徴】
大企業の倒産は、取引先にとってだけでなく、従業員、業界全体などに、大きく影響します。
そのため、破産や民事再生、私的整理、会社更生といった選択肢が増える分、適切なスキーム選択が非常に重要となります。
【方針】
実際、破産から民事再生に移行するケースもありますので、債務超過があっても、直ちに破産とはせずに、再生の道も十分検討すべきと思われます。