リスケジューリングによる自主再建

1 リスケジュールとは(≒支払期限・月次の支払額の減額)

リスケジューリング(リスケ)とは、金融機関との交渉によって、融資を受ける際に約束した支払条件を緩和することです。具体的には、支払い期限を延期したり、月々の支払額を減額したり、利息や損害金をカットしたりすることです。

「リスケ」という言葉はさまざまな文脈で用いられますが、要は、「当初の約定での支払い(元本+利払い)の内容を変更(緩和)すること」を言います。

リスケ=リスケジュールですので、根本的な内容は、「支払期限の調整」すなわち月次の支払額の減額を指します。

ただ、リスケの枠組みでは、「元本カット」は行わず、せいぜい「利息や損害金」のカットまでを指しますので、この点で、債務(元本)の一部カットを行う民事再生等や、債務全部免除となる破産などとは区別されます。

 

2 債務整理・再建におけるリスケの位置づけ(傷の浅さ=小)

債務整理、再建は、要は、負債の改善です。

負債の傷の浅さでは、「最も軽度」(小)の位置づけです。

 

<傷の大小>

(小)・・・「支払期限の調整(月次の支払額の減額)」で済む程度→私的整理(リスケ)

(中)・・・債務(元本)の一部カット→再生支援協議会、私的整理(債権カット)

(大)・・・債務全部免除→破産

 

3 リスケのメリット(=資金繰り改善、期限の利益喪失の回避)

リスケのメリットは、大きくは、以下です。

(1)月々の返済額を抑えることにより資金繰り(キャッシュフロー)の安定

(2)期限の利益の喪失回避(=信用情報の悪化防止、口座凍結・相殺・強制執行などの回避)

 

いずれも大きなメリットです。裏を返せば、債務が大きい中で、キャッシュフローが不安定、デフォルト状態(期限の利益喪失状態)、で再建を目指すことは相当な困難を伴いますので、リスケは再建を目指す上で、重要な第一歩といえます。

再建を考える場合、通常、最初に考えるのはリスケです。

 

4 金融機関側から見たリスケ(=金融機関にもメリットあり)

金融機関は、会社設立時や設備投資、業務拡大等、重要な局面でお世話になっていることが多く、普段は非常に頼もしい存在です。顧客とはまた違ったありがたさがあります。

ただ、いざ返済が苦しくなると途端に「債権者」に姿が変わって見え、「返済を怠れば、信用情報に傷つく」というプレッシャーから、往々にして「金融機関への返済は絶対で、変更はできない」と認識してしまいます。

もちろん、金融機関への返済も重要ですが、無計画に返済をしても、誰の利益にもならなかったりします。

金融機関側から見たリスケですが、月々の返済額は減ることになりますので、一見喜ばしいことではありませんが、金融機関としても、最終的に破産されてしまうと、配当を除き、回収不能な債権となってしまいますので、破産を望んでいませんし、少なくとも、「今すぐ破産」ということを勧められることはないでしょう。

したがって、客観的な事実・見通しに基づいて、然るべき交渉を行えば、金融機関は返済猶予等、条件変更・条件緩和してくれることも珍しくはなく、その間に、事業の立て直しを目指すこともできます。

金融円滑化法自体は平成25年3月に期限を迎えておりますが、先方にもメリットのある形できちんとした再生計画を提示すれば、リスケに応じてもらえるケースも多々あります。

当然、「お願いすれば、待ってくれる」という訳ではありませんし、実態を隠したり虚偽のある計画を提示しても、問題は解消されません。

当事務所は、会計、税務にも精通しており、現実、実態に即したアドバイスを行い、適切な戦略を作り上げ、金融機関とリスケ交渉を行います。

 

5 リスケの行い方(金銭消費貸借の巻き直し)

金融機関との間で借り入れ契約(金銭消費貸借契約や覚書)の巻き直しによってリスケを行います。

 

6 リスケの内容

どのような内容でリスケをするかはケースバイケースです。

最終的には、中長期(ex5年程度)の返済計画を立案することが典型ですが、現時点では、よくもわるくも先が見通せないというケースも多々あります。

そのような場合、「暫定リスケ」として、数か月or1年程度の返済計画を立て、その間に事業改善を行うことが多いです。その中でモニタリングをしながら計画を策定、進めていくことも多いです。

1年で事業改善が改善しない場合は、再度延長し、何度か繰り返すようなケースもあります。

厳密な期限があるわけではありません。

 

7 リスケ中の支払条件(金利は?、元金は?)

ケースバイケースですが、暫定リスケであれば、利息は約定通り支払うケースも多いです。

元金返済できる余力があれば望ましいですが、手元のキャッシュ不足、他の優先すべき支払(給与、税金、買掛金等)で精いっぱいのケースもよくあります。

そのような場合でも、きちんと計画を立て、場合によっては協議会スキームを活用することなどで、リスケ、再建をすすめることも可能です。

早期に元本返済できないことのみをもって断念する必要はありません。

 

8 リスケの効能(=精神的余裕、本業への集中)

金融機関との間でリスケができれば、資金繰りの苦労から一先ず解放され、精神面を含め、余裕を持つことができるようになります。

 

9 リスケ合意後

リスケ合意によって、当面の支払額の削減、デフォルト(期限の利益喪失)は回避されます。

ただ、もちろん、リスケは一時的な猶予期間ですので、この猶予期間の間に過剰な負債の整理、売上向上、経費削減等によって、財務・収益体質を改革しなければなりません。

当事務所では、人的・物的リストラクチャー(資産売却、従業員の雇用調整・解雇)くすぶっている売掛金の回収契約条件の変更等も含め、ご相談に乗っております。ネットワークを駆使してスポンサー支援を模索することもあります。

 

10 金融機関がリスケに応じない場合

条件変更依頼書や関係資料などを提出しても、様々な理由でリスケに応じてくれないケースもあります(担当者はOKと言っているが本部の決済が下りない、保証協会付きなので、代位弁済によって手を引きたい、担保不動産からの回収を行う等々)。

それでも、粘り強く交渉してリスケ合意に至るケースもあります。

当事務所は、会計、税務にも精通しており、現実、実態に即したアドバイスを行い、適切な戦略を作り上げ、金融機関とリスケ交渉を行います。

 

11 まとめ

当事務所は、秘密厳守、初回相談無料にて、会社・社長様のために最も適切なアドバイスを行います。

ご相談いただくのにデメリットはありません。

まずはお気軽にご相談下さい。

この記事の執筆者

弁護士 小野直樹

一橋大学法学部在学中に旧司法試験合格。翌卒業

これまで数々の法人破産を円満に解決してきた実績を持つ。「スピーディな解決」をモットーに、破産が必要であっても依頼者に寄り添った対応を行っている。

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