特定調停とは
特定調停とは、民事調停の特例として、支払不能に陥る恐れのある債務者の経済的再生を図るため、金銭債権にかかる利害調整を促進するために設けられた特別な調停手続きです(特定調停法1条)。
債務の処理と言う意味において、「破産」や「民事再生」といったいわゆる法的整理の1つの方法に位置づけられております。
特に中規模以下の中小企業は、倒産と言う風評被害は事業存続を特に危険にさらすことになります。
他方で、いわゆる私的整理手続きの場合は、原則として債権者全員を相手とし、それらから弁済条件の同意を得る必要がありますが、私的整理の想定する「メインバンク」が不在であったりして、ミスマッチが起きることとなります。
そこで、裁判所の関与の元、債権者の合意を得やすくし、また、債務免除についての無税償却を認めること、全ての債権者の同意がなくとも裁判所の決定によって調停を成立させること等の特色・メリットを付与した手続として特定調停があります。
日本弁護士連合会等の主導の元、特定調停の有効活用が検討され、2013年12月から新しい特定調停スキームの運用が開始されています。
中規模以下の中層企業における特定調停としては、目安としては「概ね、年間売上20億以下、負債総額10億円以下の企業」が想定されております。
類型としては、(1)債務一部免除・残債務分割弁済型、(2)債務一部免除・事業譲渡型、(3)債務一部免除・事業承継型等があり、会社の状況、債権者の顔ぶれ、出口戦略等によっては有用な手続きと言えます。