会社清算とは
清算とは、会社法の所定の手続きを踏んで「会社を消滅」させる手続きを言います。
廃業等を考えた場合、債務が多額に上り返済ができないような場合は、破産手続きを選択せざるを得ませんが、仮に、破産するほどの債務がない場合(債務超過ではない場合)などは、「会社解散決議」→「通常清算」というプロセスを踏んで、会社を消滅させることができます。
通常清算
通常清算(債務超過でない清算)である場合、清算事務にあたっては、会社法に則り、概要以下の事務を行っていく必要がございます。
①株主総会における解散決議
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②財産目録及び貸借対照表の作成
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③貸借対照表についての株主総会での承認
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④債権申出の公告及び知れている債権者に対する催告
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⑤債権者への弁済
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⑥株主への残余財産分配
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⑦決算報告についての株主総会での承認→清算結了
登記簿謄本に「解散」というフレーズを見つけると、あたかも「会社が消滅している」かのような印象を与えるかもしれません。実体としては廃業しているが、法人登記としては「解散」のままで10年以上経過し、代表者等もそのまま行方知れずになっている、すでに故人となっているというような例も決して珍しくはありません。
しかし、法的な観点からは①「解散決議」としても、実体としては実はほとんど変更がなく、役員の名称が「取締役」から「清算人」に変更されるぐらいで、資産を失うわけでも、負債が処理されるわけでもありません。基本的に元の状態に戻ることも可能です。
②以降の手続において、大きくは、資産の処分、負債の弁済をし(④、⑤)、余りがある場合は株主に配当(⑥残余財産分配)を行い、決算報告・承認を得て、清算が終了し、この段階で会社自体が消滅することになります。
会社の解散決議、清算事務を経て「会社が消滅する」という点で、負債処理手続きである「破産」と共通しておりますが、債務超過の疑いがあるときは、負債処理の一方法である「特別清算」の申立をしなければならず(会社法第511条2項)、あくまで、債務超過でないことが前提の手続となります。
特別清算
特別清算は、上記のような清算手続きを行っている会社について、清算手続に支障がある場合や、債務超過の疑いがある場合に、関係者の申立てによって開始される特別な清算手続です。
破産等に比べて制度の利用は活発でございませんが(年度により異なりますが、年間の申立件数は全国で300件程度とされています)、
活用例としては、事業再生の一環として、事業譲渡又は会社分割後の従前会社の消滅として利用される例が多く、主として税務対策(無税償却)の観点からの活用例が多いと言えます。